ある男の波乱万丈人生の幸せ追及日記 ~愛する息子に捧ぐ~

元役者で転職12回、結婚4回、50才過ぎて初子育てと、何かと波乱万丈な人生を歩んでいます。過去を振り返り、これからの人生の幸せを考えて行きます!

ゴミ屋敷の恐怖。

 私が昔役者をやっていた時に便利屋でアルバイトをしていた時のお話です。

 

 90年代初頭は便利屋という商売がまだまだ少なかったため、私がいた便利屋も色々な仕事が入ってきました。

 

 これはその便利屋時代にあった話なのですが、東京の新大久保という駅の近くのアパートに掃除とゴミ処理の仕事に行った時のお話です。

 

 今でこそ韓流ファンの聖地と呼ばれる土地ですが、当時はまったくそんな気配すらなく、韓国料理店が比較的多い街という印象しか私にはございません。

 

 今回はその新大久保のとあるアパートへ着いたところから話がスタートします。

 

 掃除道具を軽の箱バンから取り出し、依頼者が住むアパートへ到着した私は玄関をノックします。

 

 私「○○(便利屋の名前)から来ました!」

 

 お客様(・・・。しーんとしていて耳を澄ましても何も聞こえてきません)

 

 私「すいませーん。いらっしゃいますかぁ?」

 

 お客様(奥からこちらへ向かう足音がしたあと)「カチャッ(鍵を開ける音がし、少し顔を玄関から出し)誰?誰?」

 

 私「○○からきたものです」

 

 お客様(ドアの外へ出てくるなり、いきなり)「しーっ。しーっ。」と対して大きな声でもないのに言われます。

 

 お客様(消臭スプレーを両手に持ち、プシューップシューッと液体が無くなるんじゃないかというほどドアの内側と外側に交互にひたすらスプレーをし出します)。

 

 私は(何か恐いなこの人と思い)黙ってしまいます。

すると。

 

 お客様「ちょっ、ちょっと待って!ちょっと待って!」と慌てたように言ってきます。

 

 私(何だろうと思いつつも)「はい。待ちます!」

 

 すると、いきなり私をめがけて消臭スプレーをかけてくるではありませんか!

 

 私「いやいや。何してるんですか?何ですか?何で私にかけるんですか?」

 

 お客様(人差し指で鼻を抑え)「しーっ。しーっ」とまた言ってきます。

 

 私「スプレーは人にかけるものではないですよ!」

 

 お客様「だって、だって、臭いんだもん部屋が。だから、だから、かけとかないと」と意味の分からない回答、、。

 

 私(気を取り直し)「とにかく中の様子を見てもいいですか?」

 

 お客様(だまって頷く。ただ小刻みに縦に何回も首を振ります)

 

 私(その頷き方を見て、怪しい人だなぁと思います)

 

 そうして意味の分からないやり取りを終えた私は部屋に入り、驚きの光景を目にします。

 

 そうです。

 今でこそ有名なゴミ屋敷です(当時はそんな言葉をメディアで目にしたり、耳にしたりすることはありませんでした)。

 

 1DKのアパートに無造作に捨てられたゴミ。

異臭を放ち、目も痛くなる状況です。

 

 それにメインの部屋は何と私の腰の高さまでゴミで埋まっており、分別した形跡など皆無です。

 

 飲みかけ食べかけは当たり前で、生ごみも袋に入れられずそのまま捨ててあります(バナナの皮や、かじったメロンの切れ端等、動物飼ってる?の雰囲気です)。

 

 私の心の中「やばいなこれは、、、大丈夫か、、、」

 

 そこでお客様からまさかの言葉「やめてー!恥ずかしいからあまり見ないで!そんなに見ないで!」

 

 私「・・・」(何だそれは。あんたがここに呼んだんでしょって心で突っ込みます)。

 

 その依頼者は女性ですが、めちゃくちゃ挙動不審で私とも絶対目を合わせません。

ただ挙動不審ではありますが、このゴミ屋敷に住んでいる割には汚いとかいう感じはなく、服装もきちんとしてはいました。

 

 そして。

 

 私「お風呂場とかはどうされますか?清掃するのであれば一度見たいんですが」。

 

 お客様(また先ほどと同じく高速で首を縦に振り、だまって頷く)。

 

 

  お風呂場を見た私は再び衝撃を受けます。

 

 風呂場は予想通りのカビだらけで、部屋とはまた一味違う異臭を放っています。

その異臭の原因はすぐ分かりました。

 

 それは排水溝です!

 

 恐る恐るフタを開けてみると、そこには大量の毛と見たこともないヘドロの大きな塊が排水溝を占拠しているのです(実際排水溝のフタが少し浮いていました)。

 

 私は「これは大変だぁー。簡単には終わらないぞ」と心で思います。

そんな事を考えていると。

 

 お客様「全部見せたでしょ!恥ずかしいから早くして!」と相変わらず返りの言葉が無茶苦茶です。

 

 そこから作業に取り掛かろうとした私はマスクと手袋をつけ、作業に取り掛かります。

少しでも油断すると、凄まじい悪臭と大量のゴミの山に心が折れてしまいそうだったので、「全国片付け選手権」のような架空の大会に出たつもりで無我夢中に作業を行いました。

 

 作業を開始して1時間30分ほど。

 

 掃除がメインというよりはゴミ処理が一番のメインだったので、ひたすらゴミをかき集めていく作業を中心に行いました。

ゴミ袋は90ℓの袋で軽く10袋は使いました。

 

 ゴミが部屋から無くなり、部屋の床が見えた時は安堵の胸をなでおろしました(床の畳はやはり色々な水分で腐っていましたが)。

 

 ただ、地獄パート2の風呂場が私を待っています。

カビ取り自体はその風呂場の悪臭よりも、むしろ塩素の香りの方がましって感じだったので(それはそれで危ないですが)、意外と順調に進みました。

 

 そして。

 

 さぁ人生初の巨大ヘドロwith髪の毛やら色々混合との闘いです!

手袋をしているとはいえものすごく気持ちの悪い感触が伝わります。

ただヌルヌルが半端なく、手袋をスルスルとすり抜けるではありませんか、、。

 

 あと細かい部分は手袋をしていると全く取れません。

 

 少し考え、出した決断は「素手での闘い」です!

ここまできて負けるわけにはいかないと思った私は素手で勝負に挑みます。

 

 「いやーーーーっ何だこれは!!!」という感触です。

心の中では「負けるな〇〇(私の下の名前です)。負けるな○○の自分で自分の声援を送ります」。

 

 またこれは「汚いものではない」「汚いものではない」という暗示もかけながら、どうにか強敵に打ち勝つ事が出来ました!!

 

 最後に代金を頂戴し、ゴミ袋と掃除用具を積むために車へ向かいます。

車を見た私は再び別の事でノックアウトさせられます。

 

 駐車禁止の札です。

ご丁寧にミラーの所にかけられています。

 

 「しまった、、、」

近くに駐車場が見当たらず、ゴミも積むと考えていた私は、アパートから少し離れた車の往来が少なそうな路地に駐車していたのです。

 

 それから事務所に帰り社長に言います。

 

 私「あの女性何なんですかね」

 

 社長「あぁあの人うちの常連さんで、彼女ソー〇嬢だよ。外国人の彼氏が何人かいてあの部屋を自由に使わせているみたい。だけど素行が悪くて部屋を汚しまくるから定期的にゴミ処理と掃除を頼まれているんだよ」(ゴミを捨てないって、素行が悪いって以前の話ではないかと思いますが)

 

 私「えーー。知っていて俺に頼んだんですか?」

 

 社長「あぁだってお前に正直に話したらこの仕事行ってくれないって思ったんだもん」と子供のような発言。

 

 そうです。

私は社長に騙されたのです。

社長からはただの掃除とゴミ処理と聞かされていただけなのです。

 

 そして極めつけは。

 

 社長「今回、あの人お前を気に入ったってさ。だから次回もよろしくな!」と言うではないですか。

 

 私「えー。イヤですよ」

 

 社長「何か他のおいしい仕事があったらお前に任すから。な?な?」と言ってきます。

 

 私「じゃあ俺の駐禁代払って下さいよ」

 

 社長「え?お前駐車場に停めなかったの?それは俺のせいじゃないよ。お前が悪いんだからお前が払えよ」とごもっともな返しです、、、。

 

 結局私は駐禁代15,000円を払ったため、結果赤字でこの仕事をやったのでした、、、。

 

 そしてこの話には続きがあります。

 

 それから1ヶ月半ほど経ち、再びその女性から依頼が来ます。

 

 私は今回はきちんと駐車場に車を停め、また再びそのアパートに行きます。

 

 私「○○(会社名)からきた○○(私の名前)です」

 

 女性はまたいつものごとくスプレーを撒きながら玄関に近づいてきます。

 

 女性「え?誰?」

 

 私「ご指名いただいた○○の○○です」

 

 女性「え?嘘よ!嘘よ!」

 

 私「いえいえ私が○○です。以前もこちらにお伺いしたじゃないですか?」

 

 女性「嘘よ!嘘よ!」

 

 私「・・・」

 

 少し間が空き

 

 女性「だって、、だって、、○○さんはもっと背が高くていい男だったわ。絶対あなたじゃない!」

 

 私「・・・」

 

 確かに私は170cm足らずの身長ですし、顔も普通かと思います。

そこまで言われるとこちらも困ってしまい、私は彼女に聞きました。

 

 私「えー困りましたね。では今日はどうされますか?」

 女性「だって違う人だもん!だからいいわ!」

 

 私「いいわっていうのは断るという事ですか?」

 

 女性「だって嘘よ!嘘よ!」

 

 私「ではどうしようもありませんので、一旦帰ります」と言い残しアパートを後にしました。

 

 帰ってから社長に「〇〇(私の名前です)。今度から別な人をお願いしますって言われたよ。お前行きたくないからってどういう手を使ったんだよ。お前ずるいよ」と言われます。

 

 その時の状況を社長にこと細かに話すと社長は大笑いして「何だよそれは」と言われたのですが、こっちこそ「何だよこれは」と言いたかったです、、。

 

 結局、バイト代も入らず駐車場代ももらえず散々な結果でした。

 

 一期一会の仕事とて相性って大事ですね。

 

 本日も長い文章にお付き合いいただきありがとうございました!