ある男の波乱万丈人生の幸せ追及日記 ~愛する息子に捧ぐ~

元役者で転職12回、結婚4回、50才過ぎて初子育てと、何かと波乱万丈な人生を歩んでいます。過去を振り返り、これからの人生の幸せを考えて行きます!

あるお金持ちの話 ~懐が深いなぁと感じたこと~

 このお話も私が便利屋にいた頃の話です。

 

 ある日、非常に暇だった私は便利屋の事務所に遊びに行き、そこでくつろいでいました。

その時に社長の「誰かいない?」と廊下を歩きながら事務所に向かう声が聞こえてきます。

 

 社長の自宅と事務所がつながっていて、便利屋スタッフは事務所に勝手に入れるシステムでした。

 

 すると、「お!〇〇がいるじゃない。お前ちょっと仕事行かない?」と言われます。

 

 私「え。大丈夫ですが、どんな仕事ですか?」と聞きます。

 

 社長「いやいや簡単な仕事だよ」

 

 私「簡単な仕事って何ですか?」

 

 社長「電球交換だよ。電球交換!」

 

 私「行きます!」

 

 という流れで仕事に行くことになります。

 

 社長「脚立を持って行ってね。あと途中でこの電球を買ってから行ってね」と言われメモを渡されます。

 

 早速倉庫から脚立を出して、車に積みこみます。

途中電器店で電球を買い、それからお客様のもとへ向かいます。

 

 その言われた住所は渋谷区の高級住宅街にあるのですが、その住所に到着するなり私の目に瀟洒な洋館が飛び込んできます。

 

 それを見た私は「へぇー。かなり立派な家だな」と思いました。

 

 早速インターホンを押すと上品な声の奥様らしき人物の声がします。

 

 私「〇〇(便利屋の名前)から来ました!」

 

 奥様「あ、はーい。今開けますね」

 

 すると大きな門が自動でゆっくりと開くではありませんか。

 

 私「すごいな」と改めて思います。

門をくぐり30メートルほどの庭を歩き、玄関の前に立ちます。

 

 するとおしゃれで大きな扉がおもむろに開き、上品な笑顔のお年を召した奥様が迎え入れてくれます。

 

 玄関に入ると非常に天井の高い吹き抜けとなっており、その玄関の左側には宮殿でしか見たことないようなお洒落な階段が2階に向かっています。

 

 その広い玄関ホールの壁面には絵画が多数飾られており、間接照明が照らされていてこれまた海外の美術館のようにお洒落です。

 

 美術館の雰囲気が好きな私は「すごいなこれは」と心で思いました。

そんな雰囲気に見とれていると、少し奥から男性の声がします。

 

 そして奥様に促され、その男性のもとへ向かいます。

 

 すると奥にあるかなり広いリビングに上品な雰囲気のお年を召した男性が、見た事のない高さの背もたれの椅子に座っています。

 

 そして私に。

 

 男性「あー本当におたくみたいな商売があってこちらとしては助かります。ご覧の通り年寄り二人で住んでいますし、困ったなぁと思っていたら妻が電話帳を見ておたくに早速連絡したんです」と、とても物腰柔らかく若造の私にも接してくれます。

 

 私「いえいえ。こちらこそご依頼ありがとうございます。本日は電球交換と聞きましたが、どちらの場所ですか?」と聞きます。

 

 男性「今あなたが入ってこられた玄関ホールのところです」と言われます。

 

 すると奥様が。

 

 奥様「主人は足が悪いので、私が場所を案内します」とその場所に私を案内してくれました。

 

 奥様に場所を案内され、さきほど入ってきた玄関ホールに戻ると確かに電球が切れている箇所が1ヶ所ありました。

早速車から脚立を持ってきて電球を交換するのですが、電球を入れ替える作業なのでそれもすぐに終わりました。

 

 作業が終わり男性のもとに完了報告に向かうと改めてお礼を言われます。

 

 男性「本当に助かりました。ありがとう。あなたからすればこんなことって思われるかもしれないけど、こちらとしては本当に助かります。それで本日のお代はおいくらですか?」と私に聞いてきます。

 

 私「いえいえこちらこそありがとうございます。事務所からの移動距離もほとんど無いですし、基本料金の3,000円と電球代だけお願いします」とお伝えします。

 

 すると意外な返事が返ってきます。

 

 男性「いやいやそんな安い金額だったらこっちが申し訳ないです。では5,000円はお支払いしますよ」と。

 

 私「いえいえ。会社の決まりですし、そこは全く問題無いのでその料金をお支払いいただけますか?」と返します。

 

 男性は本当に申し訳なさそうで、何か考えています。

 

 少し考えたあと私にさらに意外な言葉を言ってきます。

 

 男性「あなたに気持ちとしてお渡ししたいんだけど、あなたの雰囲気だと受け取ってくれなそうだし、どうしたもんかなぁ」と悩んだあと、「あなた若いからバイクとか乗りますか?」と予想しなかった質問が返ってきます。

 

 私「普段は自転車を使っているので、バイクには乗っていませんが」と答えます。

 

 男性「じゃあうちにあるバイクをあなたに上げたいんですが、気に入ればの話ですけどどうですか?」と言います。

 

 私「いえいえ。そんなものいただくわけにはいきません」と答えると。

 

 男性「私はご覧の通り足が悪いんです。だから最近の移動はもっぱらタクシーばかりで、バイクもガレージに置きっぱなしですし、使ってくれる方がいれば使っていただきたいんです」と返して来られます。

 

 そこで奥様が。

 

 奥様「まぁ主人もそう言ってますし、私が案内しますから見るだけ見てみませんか?」と提案されます。

 

 それから私は奥様とガレージに向かい、そのバイクを見に行きます。

 

 ただ、そのバイクを見て私は一目惚れしてしまいます!

 

 そのバイクは「ホンダ シャリィ」というバイクで、小さくてレトロな雰囲気の車体はまったく錆も無く、塗装もまったく剥がれておらず大変良い状態で保管されておりました。

 

 奥様曰く、ご主人が足が悪くなる前は大事に使われていたそうです。

 

 バイクはかわいいし、ご主人が大事に使っていたそのバイクが私に回ってきたのも何かのご縁だと思い(いいように解釈しておりますが、、、)、ありがたくいただくことにしました。

 

 改めてご主人に告げると「あぁ気に入ってもらえて良かった」と喜んでくれました。

 

 バイクは小さめの50㏄だったので、私が乗ってきた箱バンに余裕で入りました。

便利屋に戻り箱バンからバイクを降ろし、その日は自宅まで押して帰り、後日登録を済ませました。

 

 エンジンも1発でかかり、小さな車体でキビキビ動くそのバイクに私は感動しました。

 

 後日、私はそのバイクに乗りそのお宅へ改めてお礼を言いに伺いました。

 

 その時、ご主人も奥様も快く迎えてくださいました。

 

 そしてそのバイクは壊れるまで私が使わせていただきました(青空駐車で無ければもっと長く所有出来たなと悔やまれますが)。

 

 以前、コールセンターのお話でクレームを入れてくる方の事に触れましたが、真のお金持ちの方は穏やかで、誰に対しても丁寧な対応をしてくれますし、物を大事に使われるんだなと感じたお話でした。

 

 金持ちではない私ですが、いつも心にゆとりを持ちたいですね。

 

 本日も長い文章にお付き合いいただきありがとうございました!