ある男の幸せ追及と子育て日記

元役者で転職15回、結婚4回、50歳を過ぎて初子育てと、何かと波乱万丈な人生を歩んでいます。子育てや所感を中心に人生の幸せを追求していきます!

寮長って最高のはずが・・・。 ~転職の足音近づく~

 さて前回の続きです。

 

 私は順調にいっていると思っていた新たな寮長の仕事でしたが、私と妻とでは全く気持ちが一致しておらず、妻の気持ちはどんどん萎縮する方向に向かっているのでした。

 

 妻の気分転換を兼ねて北陸旅行に行き東京に戻ってきた時からのお話の再開です。

 

 旅行後最初の1週間は妻も普通に働いておりましたが、そこからしばらくして妻が休憩時間の仮眠中に奥の部屋からすすり泣く声がしてきます。

 

 気になった私は奥の部屋に行き、ドアを開けます。

そうすると涙を流した妻がベッドに横たわっていました。

 

 私「どうしたの?やっぱり仕事が辛いの?」

 

 妻「(泣きながら黙って頷きます)」

 

 私「この前気分転換もしたはずなのに、何でそんな風に俺を困らせるの?」

 

 妻「・・・。(泣いています)」

 

 私「じゃあどうすれば納得がいくの?」

 

 妻「(泣きながら)離婚して欲しいです!」

 

 私の心の中「急に?え???どういう事?」と頭はパニックです。

 

 妻「(泣きながら)離婚すればこの仕事を辞めれるでしょ!」

 

 私「どういう事か全く理解出来ないけど」

 

 妻「だーからっ!!(強めの語気で)離婚してって言ってんの!!」

 

 私「いやいや。落ち着いて落ち着いて。離婚がしたいの?それとも仕事を辞めたいの?」

 

 妻「(泣きながら)だってこの仕事を気に入ってるのは知ってるし、私が離婚すれば仕事は辞める事は出来るし」と言っている内容が支離滅裂です。

 

 私「俺は仕事は確かに気に入っているよ。だけど離婚は考えてもないし、したくないし、ならばどうすればいいの?」

 

 妻「・・・」

 

 私「正直に話してみて。怒らないから」

 

 しばらくの沈黙のあと

 

 妻「私は〇〇(私の名前です)がいい仕事だって喜んでいるし、それは分かるし伝わってくるんだけど、どうしてもどう考えても、私はやっぱり辛い。だから私じゃ〇〇の妻として失格だから離婚するしかないって思ったの」

 

 私「え?ちょっと待って。離婚は本意じゃないって事?」

 

 妻「(黙って頷く)」

 

 私「じゃ辞めたいのは何が最大の理由なの?」

 

 妻「(再び泣きながら)寮の子たちは本当に純粋で明るいし、みんなまっすぐで素直な子が多くて好きだよ。頑張り屋さんも多いし、そりゃ私だって出来れば応援したいよ。だけどだけど、私が何をするにも、どこかに出かけるにも必ず寮生の子たちに会うし、監視しているって訳じゃないんだろうけど、私は時にはひとりで静かな時間も過ごしたい。なのにここにいると周りの目が気になって仕方がないから息が詰まるの。わがままと言われればそうかもしれないけど、私には無理なの!」と言い出します。

 

 確かに妻は付き合っている時からそういう性格の人でした。

 

 本当に根は優しいし、相手の事も考えてくれますが、ひとりの時間を大切にしてこそって前提の方も多くいらっしゃるかと思います。

 

 妻もそのタイプの人間です。

 

今までは私が仕事に行ったりしていれば、妻もひとりの時間を満喫し、好きな本を読んだり趣味のイラスト等を描いたりして過ごしていました。

 

 百歩譲って私と二人でずっといるのは我慢できても、赤の他人と同じ屋根の下で住んでいる事に対し、妻の中で限界が来ていたようです。

 

 私の心の中「あー。そういう事だったのか・・・」

 

 やっと巡り会えた天職かと思っていた私でしたが、よくよく考えればこの職に就けたのも、あくまで妻のサポートあってのことです(夫婦で住み込みが最低条件なので)。

 

 以前私は、業務委託でホテルの支配人を8年以上やっていた人間なので、そういう環境は気にもなりませんでしたが、妻は初めての経験かつ性格上無理だったわけです。

 

 最初はなんで協力してくれないのって気持ちが勝っていた私にすーっと何か気持ちが降りてきます。

 

 「お前、この人を手放したくないよな。大事にしたいよな」と。

 

 そこで私は妻に言います。

 

 「俺のために無理してくれてありがとう」と。

 

 妻も泣きながら私に寄り添ってくれました。

 

 仲直りしたのも束の間。

 そうなるとまた心機一転で転職活動を始めなければなりません。

 

 そう思ってから数日経っての出来事です。

再び、転職サイトから応募しませんかメールが来るではないですか(また登録したままでした)。

 

 その仕事ですが、石川県輪島市の輪島塗の漆器を製造している会社の営業の仕事でした。

仕事内容はデパートでの催事や、輪島塗のコレクターさんのフォロー営業が主な仕事でした。

 

 元々伝統工芸品や、美術館、博物館に行くのが好きだった私は 「これなら頑張れるかも?」と思い、早速書類を提出します。

 

 それから1週間ほど経ち、書類選考通過し見事面接は決定します。

面接の交通費も先方持ちで行けるとの事で、旅行に続き再び北陸を目指します。

 

 旅行から1ヶ月以上経過していることもあったのと、もうすぐ春が近い季節だったため、あれだけあった雪も町からすっかり無くなっていました。

 

 その会社の社長と本社で面接を受け、その後社長に工房も見せてもらいました。

工房は工場の他に展示場もあるのですが、広い展示場の中に作品の数々が並べられており、非常に優雅で壮観な光景でした(伝統工芸品を作る技術って本当にすごいですね)。

 

 中には普段滅多にお目にかかれない作品等もあり、様々な作品を実際手に取って見せていただきました。

本当に美しかったです(触るのは緊張しましたが、、、)。

 

 面接後、さらに1週間ほどして社長から連絡があります。

 

 社長「〇〇さん。大変お待たせしてすいません。本当に本当に悩んで〇〇さんは最後の2名まで絞った中に入っていたんですが、今回は大変申し訳ないですが輪島は雪も非常に厳しい地域なので、最終的に地元が石川の方を採用とさせていただきました」

 

 私「そうですか。わざわざご丁寧に連絡をしていただきありがとうございました」と答え電話を切りました。

 

 残念です・・・。

 

 でも社長の言葉に嘘は無いと思いました。

なんせ東京からの交通費を出してまで面接したいと思ってくれたのですから。

ありがたいです。

 

 また、滅多に見る事が出来ない貴重な作品を目の前で見られたのですから、それはそれで良い体験をさせてもらったと思っています。

 

 そういう転職活動の中、この営業の仕事以外に書類選考で全敗中だった私に、思いがけないところから吉報が入ってくるのでした。

 

 少し長くなりましたので、この続きは次回お話させていただきます。

 

 本日も長い文章にお付き合いいただきありがとうございました!