ある男の幸せ追及と子育て日記

元役者で転職15回、結婚4回、50歳を過ぎて初子育てと、何かと波乱万丈な人生を歩んでいます。子育てや所感を中心に人生の幸せを追求していきます!

職人ってかっこいい!

 昔から私は不器用だったため、何かを作るという作業が結構苦手でした。

 

 中学生の時にラジオを作る授業がありましたが、結局仲の良い友人に代わりに作ってもらいました。

 

 その時友人が言った台詞は今でも覚えています。

その台詞は「自分で作るから完成した時には買った以上の楽しさがあるのに、本当に僕が作っていいの?」でした。

 

 そして続けざまに「作り方を教えるから、自分でやってみない?」でした。

 

 しかし当時の私は不器用さを露呈してしまうことを恥だと思い、本当は作りたい気持ちもあったのに、彼に対し私はこう答えます「別に作りたくないし、好きなら俺の分も作っていいよ」と。

 

 彼は喜んで作ってくれましたが、当時の私は軽く感謝したのみでした。

 

 思春期の男の子がいかにも言いそうな台詞ですよね。

 

 自分が教えてもらうのが恥ずかしかった上に、作ってくれた友人にきちんと感謝出来ないなんて、今の自分からすれば考えられない行為です。

 

 もしタイムマシーンがあれば、当時の自分に文句のひとつでも言ってやりたいですが、当時の自分は自分で何を言われても響かないんだろうなと思います。

 

 結局私は彼にラジオを作ってもらい、最初のうちはラジオを聞いていましたが、自身で作った物でもないですし、しばらくすると全く聞かなくなりました。

 

 その彼はと言いますと自身で作った愛着のあるラジオですし、その後大学進学するまで毎晩のように聞いていたそうです。

 

 やはり思い入れって物を大事に扱うんだなと思います。

 

 彼は結局地元の工業大学を卒業し、今も大手メーカーの技術者として活躍しています。

彼は口下手で私はどちらかというと口達者、モノづくりに関して彼は器用で私は不器用という真反対の性格だったためか、お互いの欠点を補うことが出来る関係だったので、大人になった今でも連絡を取り合っています。

 

 一昨年も彼に電話をしたら開口一番に「子供が出来たんじゃない?」と言われびっくりしました。

親友っていいですね。

 

 そして彼は私のインターネットの師匠でもあります。

2000年に東京の会社を辞めて地元に戻った私でしたが、これからの時代はインターネットが主流になるとのことで、当時ブラウン管のモニターのついたSONYVAIOを購入しました。

 

 買ったはいいけどこれで何が出来るの?と思った私は唯一出来たのがネットサーフィンのみでした。

彼は大学を卒業し、メーカーの技術職だったこともあり、その時にはすでに色々な技を取得していました。

 

 キーボードすら普通の速さで打てなかった私でしたから、まずはキーボードの練習から始め、その後ワードやエクセルの基本操作を彼に学びました。

 

 それから2年ほどして私はホテル業に携わるのですが、ホテルはパソコンでのシステム操作も多く、その時に基本操作を学んでいて良かったなとつくづく感じました。

 

 結局、その後はどの会社に入ってもパソコンを使用するのは当たり前の時代に突入しましたし、その時彼から学んでおかなければ完全に時代遅れの人間になっていたかもしれません。

 

 彼には技術的な事を色々と教わりましたが、私が出来る彼への恩返しはやはり口を使う事です。

 

 店員さんと話すのが苦手な彼に変わり、服や靴のサイズの在庫を聞いてあげたり、飲食店でのオーダーはすべて彼の分まで私がします。

 

 小学校高学年から高校まで彼とは一緒でしたが、いつも持ちつ持たれつの関係でした。

 

 

 今回何でこの事を思い出したかと言いますと、つい最近出勤のために駅まで歩いている時のことでした。

 

 かなり若い大工さんらしき人が、一回りか二回り上と見られる男性に対し「○○さん!こことここは○○(専門用語らしき言葉だったため正確には覚えておりませんが)ですから、○○を使いましょう。そしてこっちは○○だから○○を使った方が作業がやりやすいと思うんで」と言っている姿が聞こえました。

 

 そしてその男性の表情を見た時に、非常に仕事に燃える男の表情で真剣に作業に臨んでいました。

私がそこを通り過ぎる何十秒にも満たない時間だったにも関わらず、私はそのシーンがすごく印象に残りました。

 

 私よりどう見積もっても25才以上年下の彼が、年上の男性に対し的確な指示を出しているわけです。

私が彼くらいの年令の時にそんな働く男の表情を見せられたかといいますと、お恥ずかしながら微塵もなかったと思います。

 

 むしろその年の私はバブルの頃で、世の中を完全になめきっていたと思います。

 

 若くして職人の世界に入り、きちんと修行をして一人前になっていく職人さんには、何かかっこ良さだけを求めて右往左往していた私には正直頭が上がりません。

 

 若い頃の私は、努力するのはカッコ悪い男のすることだと本気で思っておりましたし、何の努力もしない人間でした。

 

 さらに言えば、努力せずに役者で売れてしまえばこっちのもんだ位思っていたわけで、、、。

 

 あーカッコ悪い。

 

 今思えばどんな世界も努力するところは努力しなければ良い結果には繋がりませんよね(そりゃ売れない売れない)。

 

 若い頃はサラリーマンを見ても「何でこんなくだらない仕事をみんなやっているんだろうか?」って新宿駅でサラリーマンを見ては本気で思っていました。

 

 まあ確かに職人さんと違って、サラリーマンって顔が死んでいる人は多いですけどね。

 

 最近営業職になり、職人さんがいる企業にも顔を出す機会が増えたのですが、そういった職場に限ってみなさん楽しそうに事務所で話している企業が多いです(悪く言うつもりはありませんが、まるで学生さんのようです)。

 

 肉体労働って言ってしまえば人間の生活の基本中の基本のわけですから、身体を思いっきり動かし働くってことは非常に健全な気がします。

 

 私の仕事はどちらかと言えば数字数字に追われる毎日で、仕事自体に文句は無いですが健全かといえば疑問が残ります。

 

 先に述べたように口先を使ってでしか仕事が出来ない私ですし、そういった人間の宿命なのかもしれませんね。

 

 

 何かを作り出せない私なので、口先だけの商売だと卑下してしまえば元も子もないですし、人よりも話術に長けているからお前は今の職に就いているんだよと言い聞かせるようにしています。

 

 だけど建築の世界にかかわらず、自分の腕ひとつでのしあがり、それで食べていけるのってかっこいいですし、やはり憧れますね。

 

 ただ、世の中は十人十色!

 

 様々な人がいて様々な役目を果たしているから社会が回るんですよね。

 

 子供が出来てから、何か作れる父親の方がかっこいいなと思った私ですが、そこを目指すためにも簡単な日曜大工的なものからまず初めて、そこで自信をつけてから今後色々とチャレンジしていこうと思います!

 

 本日も長い文章にお付き合いいただきありがとうございました!